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今まで受けた印象的なレッスン 〜ロシアンピアノスクールを聴講して



カワイ表参道で毎年行われているロシアン・ピアノ・スクールを聴きにきてみた。ずっと興味はあったんだけどやっと来れました。午前中はアンドレイ・ピサレフ先生。予想はしていたけれど、やはりレガート奏法の嵐。ピサレフさんが弾くとどんなパッセージでもレガートに弾けちゃうんだねぇ。モニターも付いてたので、手の形や各部位の動きなどジーッと見てるととても勉強になりました。
午後はパヴェル・ネルセシアン先生。奏法に重きを置くピサレフ先生とは対照的に、受講生のキャラクターを掘り起こすためにいつもと違う弾き方をさせてみたり、曲のイメージの話をたくさんしたり、どんどん音楽が豊かになる時間でした。そして、何気なく隣で弾くのがうまいこと!!2011年の大震災後のチャリティコンサートで同じステージで弾いたんですが、その時の印象とは別人でした。面白かったのは、ドビュッシーの喜びの島の最後の和音のところ、ドビュッシーっぽくないわけでは全くないのにやっぱりロシアの鐘のような音色に聞こえたこと。プロコフィエフ とかはやっぱりさらっと弾いてもあの独特な感じが出るあたり、こりゃあ日本人にはまだまだ真似できませんな。
思い起こせば、自分もこうやってたくさんの公開レッスンやマスタークラスを受けたものだ。たった1回のレッスンでも、今でも自分の音楽に影響を与えている先生に何人も出会いました。アルゲリッチ音楽で受けたヴィタリー・マルグリスのレッスンでは、肩から落とす打鍵(今考えるとそれは腕の根元=肩甲骨からしっかり動かしているということ)で鳴らしたキエフの大門の爆音に驚きました。ニーズのアカデミーで受けたミシェル・ベロフのレッスンでは、「走るな、走るな!」と言いながら僕よりはるかに速いテンポで弾くベロフ先生に笑いそうになりましたが、しかしそのクリスタルのような響きの出し方は、特にフランス物を弾く時には今でも頭をよぎります。ジャン=マルク・ルイサダのレッスンで受けたショパンのピアノ協奏曲第1番では、とにかく隣で弾いてくれるだけでしたが、どんなパッセージにもコロコロとニュアンスが付くその表現力に感嘆しました。細かい表情付けまで言われるのは基本的に嫌いなんですが(笑)、全く違和感なく受け入れられたのは小さい頃から彼のCDを聞いていたからかもしれません。そして一番驚嘆したのは、御木本先生のところで受けたフェレンツ・ラドシュのレッスン。事あるごとにいろんな外国人の先生のレッスンを受けさせていただいたのですが、ラドシュは超越してた。なんせ、ショパンの葬送ソナタ、「レシッ」の弾き方だけでレッスン終わりましたから(笑)。その頃の僕は細かいことはさておき全体の雰囲気と勢いだけで勝負してました。そんな自分には衝撃的なレッスンでした。単なる「レシッ」なのに先生の弾くのとは全く違うのは分かる。しかしどうやっても出来ない。細かいところにこだわっているからといって、神経質な感じでは全くなく、本当に音楽的に必要だから、というだけ。全体のために細部を磨くことの大切さが身にしみたのでした。これは演奏にも役立ってますが、いざ自分がレッスンする時にはさらに役立ってます(笑)。全体をまんべんなく色付けしても、その曲は仕上がるかもしれないけど生徒の力は伸びない。それよりも必要な要素をとことん突き詰める。その辺が、シフ・コチシュ・ラーンキのような素晴らしいピアニストを育てられた秘訣なのかもしれません。

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