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チャイコフスキーピアノ協奏曲




9月に久しぶりにチャイコンを弾く。何度も弾いた曲だし、そんなに研究するような複雑なものでもない、テクニック的にも自分には合っているようでそんなに苦しくないので、このままではシレッと練習して弾いてしまいそうだ、という危惧を感じて何年かぶりに聞いてみた。若い頃はホロヴィッツとギレリスをハードローテーションで聞いてたけれど、ナクソスで探してみるとなんとポゴレリッチがある。知らなかった。

何気なく聞いてみると……、最初の和音のところから釘付け。そのあとも摩訶不思議な、しかしものすごく強烈な求心力に最後まで聞き入ってしまった。なんというか、テンポは意味が分からないほど遅い時があるし、フレーズは伸び伸び、歌うところもメトロノームが後ろにあるかのように杓子定規なのに、なんだこの魅力は。自分の方程式には全くない説得力に驚き、その秘密を知りたいと思ってしまう。いや、なんとなくは分かるんだけど、絶対出来ない。多分誰にも出来ない。子供にはポゴレリッチ聞かせないほうがいいなぁ。このまま真似したら単なる棒弾きになるもんなー(笑)。

それ以降ポゴレリッチが気になって気になって、次の日も若い頃によく聞いたショパンの2番コンチェルト、他にもスケルツォ、プレリュードなど聞いてみた。ある時、突然映画のワンシーンを見てるみたいな感覚になることがあった。長い、ドラマチックな映画の最後に、1人物思いにふけりながら演奏してるポゴレリッチの姿がある、そんな情景。それだけのものがこめられた音なんだろう。生で聞いてるわけではない、家でゆっくりでもなく新幹線の中で聞いていたのにそれだけのものが伝わってくる。この音を出すのにどれだけのことを経てきたんだろう。計算でも論理でもない。想い。

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