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松本ピアノフェスティバル〜ブルグミュラー講座

松本ピアノフェスティバル2日目はブルグミュラー講座を行いました。初めての試みでしたが、皆さん本当に真剣に聞いてくれました。
1時間だけの講座で全曲やると薄っぺらくなりそうだったので、何曲かピックアップしました。定番の「乗馬」(蛇足ですが原題のフランス語には貴婦人という意味はなく、乗馬という意味すらないそうです)「バラード」「シュタイヤー舞曲」など、それからピアニストが弾くと特に違いが出る曲として「アヴェマリア」「別れ」なども取り上げました。
ここをこう弾きましょう、こういう部分が難しいのでこんな練習しましょう、とか、教える時にこんなことに気をつけましょうというようなことは他にもいくつも初歩的な講座があるので、楽曲としてどんな素晴らしさがあるのかという解説に焦点を絞りました。
それぞれ良さがありますが、中でも「別れ」という曲はとてもよく出来た曲ですね。あのホロっと泣かせるような出だし、それはフリではなくて本当に身を切るようなつらさがあるということが3小節目のsfでよくわかります。そして悲しさや心の震え、動揺や焦りのようなもの、様々な感情が入り混じるテーマ。agitatoとあるので、別れの後のポツリとした寂しさ、別れの辛さが体に染み込んでいく様などを表しているのではなく、また嘆きを切々と歌い上げるアリアでもありません。もっと心が動いている状態、たとえばいてもたってもいられない様子を表しているのか、もしかしたら別れはまだ目前にあって「どうしよう」と思っているのかもしれません。中間部は幸せな思い出の世界。ショパンの葬送行進曲にも似たような展開ですね。この部分がどのようにすれば「幸せだった」「思い出」のように響くのかの検証もしてみました。
今回は休日の講座だったのでレスナーさんが大半を占めるいつもと違い子供たちや親御さん達もかなりいたようですが、ブルクミュラーの世界を少しずつ掘り下げていくうちに、どんどん会場の集中力が深まっていったのを感じました。掘り下げていくと作品の内容がどんどん見えてくるというのは名曲の証です。手ほどきの仕方や弾きにくい気をつけるべきところを教えてくれる講座や解説本も大事ですが、その大元には音楽を愛する心とそれを表現したいと言う気持ち、そして今取り組んでいる作品の大きなイメージが必ず必要です。それなくして「やり方」だけ学んでも決して音楽にはなりません。ブルグミュラーに関してはその部分を教えてくれる講座や、憧れの対象となるべきすばらしいピアニストによる演奏があまりにも少ないと感じたので、あえてこういう講座をしてみました。
「やり方」の情報があふれている現代だからこそ、本当に音楽的なものに目を向けられる人が少しでも増えるといいなと願っています。

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