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月光ソナタ

ベートーヴェン:ピアノソナタ第14番嬰ハ短調Op.27-2「月光」。
第1楽章をドビュッシーの月の光よろしく、もしくはショパンのノクターンかのように、美しくたゆたゆと弾く人が多いけれど、
あの楽章はそれまでのベートーヴェンにはなかった恐ろしさを秘めた楽章だと思う。
緊張感を持って通して弾いてみれば分かるけれど、月光のメインは第1楽章ではなくて第3楽章。
最後に嵐が凄まじい勢いですべてをなぎ倒していく。
その点、第1楽章でエネルギーを使い果たして、第2楽章で美しい音楽を奏でて、第3楽章は何やらよく分からない物になってしまった「悲愴」とは全く完成度が違う。(悲愴ももちろん魅力的な曲ではありますよ)
13番、14番をもってベートーヴェンは、というかソナタは初めて、楽章の垣根を越えて一つの映画のような壮大な世界を作り上げることに成功した。
初めて最初から最後まで息をすることも出来ないような緊張感を持って聴ける作品が生まれた。
ソナタ形式の枠組みをなくしてしまった、ということにばかり焦点が当たりがちだけれど、なぜそんなことをしたのか、ということのほうが大事だと思う。
そのためには、充実した第1楽章のソナタ形式、というものを一旦はなくしてしまうことが必要だったんだろう。
そしてその手法を確固たる物にしたベートーヴェンは、再びソナタ形式に戻りそれでも「熱情」や「運命」のような一体感のある曲を作るようになる。

話が逸れてしまった。
というわけで、月光第1楽章は嵐の前の静けさのような雰囲気を漂わせていなくてはならないのです。
自分にも音楽にも酔ってはいけない。
でも美しさを排除してしまったらこれから嵐が来るということが知られてしまう。
そして第2楽章はもっと難しい。
ひたひたと忍び寄る嵐の気配を少しでも忘れようと作り出した幻覚の楽園を表現しないといけない。
決して組曲「月光」第2曲「楽園」になってはいけない。
そうして我慢を続ければ、嵐の楽章で聴いている人の心の中を吹き抜ける凄まじいエネルギーを得ることが出来るでしょう。

って明日弾くのは熱情なんだけどtaurus

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コメント

松本さん、こんにちは^^
月光の第2楽章、「幻覚の楽園」ですか!!かっこいいなぁ。。。
わたしはこれまで「月光」通して弾くときには2楽章にくると「んも~、こんなかわいいフリしてとぼけちゃって~~、じらさないで~・・・早く3楽章いきたいのにー!」ってムズムズしながら弾いてました。で、3楽章で「うぉっしゃー、キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!」っとはりきって弾くのですhappy02

投稿: ふわふわ | 2014年3月 1日 (土) 16時49分

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