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2014年2月

月光ソナタ

ベートーヴェン:ピアノソナタ第14番嬰ハ短調Op.27-2「月光」。
第1楽章をドビュッシーの月の光よろしく、もしくはショパンのノクターンかのように、美しくたゆたゆと弾く人が多いけれど、
あの楽章はそれまでのベートーヴェンにはなかった恐ろしさを秘めた楽章だと思う。
緊張感を持って通して弾いてみれば分かるけれど、月光のメインは第1楽章ではなくて第3楽章。
最後に嵐が凄まじい勢いですべてをなぎ倒していく。
その点、第1楽章でエネルギーを使い果たして、第2楽章で美しい音楽を奏でて、第3楽章は何やらよく分からない物になってしまった「悲愴」とは全く完成度が違う。(悲愴ももちろん魅力的な曲ではありますよ)
13番、14番をもってベートーヴェンは、というかソナタは初めて、楽章の垣根を越えて一つの映画のような壮大な世界を作り上げることに成功した。
初めて最初から最後まで息をすることも出来ないような緊張感を持って聴ける作品が生まれた。
ソナタ形式の枠組みをなくしてしまった、ということにばかり焦点が当たりがちだけれど、なぜそんなことをしたのか、ということのほうが大事だと思う。
そのためには、充実した第1楽章のソナタ形式、というものを一旦はなくしてしまうことが必要だったんだろう。
そしてその手法を確固たる物にしたベートーヴェンは、再びソナタ形式に戻りそれでも「熱情」や「運命」のような一体感のある曲を作るようになる。

話が逸れてしまった。
というわけで、月光第1楽章は嵐の前の静けさのような雰囲気を漂わせていなくてはならないのです。
自分にも音楽にも酔ってはいけない。
でも美しさを排除してしまったらこれから嵐が来るということが知られてしまう。
そして第2楽章はもっと難しい。
ひたひたと忍び寄る嵐の気配を少しでも忘れようと作り出した幻覚の楽園を表現しないといけない。
決して組曲「月光」第2曲「楽園」になってはいけない。
そうして我慢を続ければ、嵐の楽章で聴いている人の心の中を吹き抜ける凄まじいエネルギーを得ることが出来るでしょう。

って明日弾くのは熱情なんだけどtaurus

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音楽の力




人は空を飛ぶことは出来ない。
この湖の向こう岸にまで手を伸ばすことも出来ない。
晴れた空を一瞬にして黒い雲で覆うことも、
地球を胸に抱くことも、
遠く離れた大切な人に今すぐ会いに行くことも、
出来ない。
でも、音楽の力を借りれば全部出来そうな気がしてくるんだよねー。

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モーストリー

それから、今月発売のモーストリー4月号に、


指揮者の宮本文昭さんとの対談が載っています。

オーボエ引退前の何年間かよく伴奏させて頂きましたが、

久しぶりに濃い音楽のお話が出来て楽しかったですlovely

 

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あさって

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というわけで、あさってはびわ湖ホールでリサイタルです。
ソナタ11番、18番「狩り」、23番「熱情」だけでは時間が足りないので何かソナタじゃない物も弾いて下さい、と言われ仕方なく(笑)幻想曲Op.77を選んでみたんですが、変な曲ですねぇ。
昔ゼルキンのベートーヴェンソナタのCDを聴いていたらこの曲も入っていて、いきなりの気が狂ったようなスケールとよく分からない悲しげなメロディーに、「一体なんでこんな曲をわざわざ演奏するんだろう。」と思った物ですが、それから10年余を経て今度は自分がそう思われるわけです(笑)。
でも取り組んでいると、地味に面白くなって来て、さすがはベートーヴェン!!凄まじいばかりの構築力を持った曲を作り疲れてしまったのか、それとも一見バラバラに見えるけどその裏には驚くべき一貫性が隠れているのか、ここから先にどんな世界が見えるか楽しみです。
あ、あくまでもメインは熱情ですO(^○^)O

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ベートーヴェンピアノソナタ全曲演奏会第3回 in 倉敷





ベートーヴェンピアノソナタ全曲演奏会第3回 in 倉敷も無事終了!!
いやぁ、しんどかった^^;
おかげで気がついたらオリンピックが始まって、気がついたら終わってた。

大変だけど、これで全部頑張って全曲弾いたらモーツァルトの時みたいに、ベートーヴェンもずいぶん楽に弾けるようになるはずだ。
あ、もちろん「松本和将の修行をみんなで見守ろうの会」ではないのでちゃんとした演奏しますよ(^_^)a。
今日の月光は結構な緊張感を作れたと思う。

さて、休んではいけない。
止まったら死ぬ。
3月だから先のような気がしていたけど、2月は28日しかないから要注意。
びわ湖ホールのリサイタルまであと4日しかありません。
熱情と11番はいいとして、10年ぶりくらいに弾く18番を頑張って掘り起こすのと、森に迷い込みそうな幻想曲Op.77をどげんかせんと!

と、思っていたら案の定夢を見た。
明日の朝便でニューヨークに飛ぶ。
向こうで学生の頃の盟友の歌手と、最近何度か共演してるジャズの大物ピアニストと共演。
さて、空港近くの合宿所(みたいなとこでした)でゆっくり寝て、、、、と思ったら楽譜を家に忘れてきた!!!
まだ朝の4時。
これから電車で往復すれば間に合う!
ああ、どうしよう。
と迷っている間にいつにまにかもう9時!!!
ああ、本当にどうしよう…

というような夢でした。おしまい。

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假屋崎省吾さんとのコラボ

去年の2月から何度か出演している「オペラ・プレミアム」

アナウンサーの松平定知さんや、ソプラノ歌手のサイ・イェングァンさんと一緒に今まではやっていたんですが、

もともとはお花の假屋崎省吾さんともコラボをする、という企画だったんです。

今まではなかなか予定が合わずご一緒出来なかったんですが、今回ようやくご一緒することが出来ました。

まずは、ピアニストの斎藤雅広さんに作って頂いた、ワーグナーとヴェルディの有名曲をちりばめた激烈な「祝典序曲」で幕開け。

最初から假屋崎さんとのコラボでした。

假屋崎さん、リハで一度だけ僕が弾くのを聴いただけなのに、曲の長さから何から覚えてしまうようで、

曲の終わりでちょうど最後の一差し。

すごいですねぇ。

でもそんな処理能力より何よりも、お花がゴージャスで美しい!!!

その後も、ワーグナー=リスト:イゾルデの愛の死、

ヴェルディ:「椿姫」から乾杯の歌(ピアノソロ)でお花をコラボして、舞台には3つの花が並んだんですが、

いやはや、すごい光景でした。

母が華道をやっていたにも関わらず、見て名前を言える花は多分5つにも満たないほど素養のない僕ですが、

ちゃんと美しい物に触れて勉強しないといけないな、と想いを新たにしました。

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ショパン講座

昨年3回シリーズで浦和の柏屋楽器で行った解説講座。


第1回はベートーヴェン、第2回はショパン、第3回はチャイコフスキーとラフマニノフを取り上げたんですが、

ショパンの回が評判が良かったので、もう一度アンコールとしてやることになり、

今回は蕨のミュージックセンターで行いました。

年表とともにショパンの人生を幼少期からたどり、どんな想いで39年の短い人生を生きたのかを曲を掘り下げることによって読み解いていく、という講座で、

人生の最後で天に向かうような音楽を書くようになり、「幻想ポロネーズ」を経て、死ぬ間際に淋しい淋しいマズルカを2曲だけ書いて、そのうちの1曲はピアノのところまで行く力も残っていなくて、ついに自分の耳で聴くことはないまま天国へと旅立った行った、

という下りになると、映画を見ているような気持ちでショパンの作品を向き合うことが出来ます。

一つ一つの作品はもちろん真剣に向き合って研究するわけですが、

こうやって人生を時系列で追いながら演奏するとさらに深い部分が見えてきて、

僕にとっても勉強になる講座です。

よりショパンという一人の人間と親密になれたような気すらしてきます。

他の作曲家でもやってみると、いろんなことが見えてくるかもしれないなぁ。

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ホールソワサントオープニングコンサート

川崎ミューザなどを設計された小林洋子さんが新たに設計したサロンが原宿に出来るということで、


オープニングコンサートシリーズに声をかけて頂き、オールベートーヴェンプログラムでリサイタルをしてきました。

まずはプログラム。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
ピアノソナタ第1番へ短調Op.2-1

ピアノソナタ第7番ニ長調Op.10-3

――――休憩――――

ピアノソナタ第11番変ロ長調Op.22

ピアノソナタ第3番ハ長調Op.2-3

(アンコール)
シューマン:トロイメライ

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

11番以外は全曲演奏会シリーズでやっているとは言え、

広島と倉敷で1回ずつ弾いただけなのでさすがに体に染み込んでいなくて、

また新たな曲を仕上げるような気持ちで臨みました。

1月にはリサイタルが二つもあり、能登にも行っていたので、

本当にすきま時間をフルに活用しての取り組みだったんですが、

さすがに一度本番を通している曲は安心感が違います。

特に7番は、今までで一番各楽章のキャラクターを弾き分けられたように思います。

第1楽章の勇壮さ、第2楽章の深い哀しみ、第3楽章の天国的な部分、第4楽章のおちゃめないたずら心、

隣の番号の「悲愴」の影に隠れてしまいがちですが、名曲だと思います。

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ホールは、60人規模のコンパクトなサロンにも関わらず、建物2階分くらいはゆうにある天井高さがあって、

響きの消え方がコンサートホールのようで弾きやすかったです。

ピアノも新しいスタインウェイではなかなか味わえない豊かな音色の物でした。

この立地、このクオリティで借りる値段は非常に安いので、

ちょっとサロンコンサートをやりたい、という時には狙いめかもよwink

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能登の思い出

能登での公開レッスン第4回目と、成果発表コンサートを終えて東京に帰ってきました。

単発のレッスンでもやはり生徒のことというのは記憶に残るものですが、
4回もレッスンすると強烈な印象として残ります。
曲の中で言うべきことだけを淡々と伝える、ということが一切出来ないタチで、
知らず知らずのうちに心でぶつかるようなレッスンになってしまうのですが、
かなり厳しいことを言った生徒などもみんな本番ではホントに心に届く演奏をしていて、
感無量でした。
自分だけで活動していると忘れそうになるものがたくさんそこにはありました。
呉の室内楽セミナーでもそうだけど、何度も何度も本気でレッスンしたコたちが
しっかり音楽と、そして自分と向き合ってステージに出て行ってる姿を見るのは、幸せなものです。
あのコたちが豊かな音楽人生を送ってくれることを心から願っています。




さて、ベートーヴェンベートーヴェンcoldsweats02

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