« 初心 | トップページ | ラフマニノフコレクション »

そしてその理由

そうだ、まだ書きたいことがあるんだった。

なんで初心に戻ろうと思ったか。

ある時ラフマニノフも2番を高関健さんと共演した時に言われたんです。

「あなたより速く弾いたのはガヴリーロフだけです。」

3楽章のことですね。

別に怒られたわけではないし、もちろん褒められたわけでもないんですが、

特に速く弾いているという自覚のなかった僕はそのことにびっくりしたのでした。

そのわけがようやく今分かった。

リヒテルとコチシュがとんでもなく速いんです。

そしてそれが自分にとっての普通のテンポだった、と。

当時の僕はとてもそんなテンポでは弾けなかったので、できる限り早く弾くというのが自分にとっての音楽でした。

そのうちテクニックも上がってきて、出来る限り速く弾いていると今度は自分がとんでもないテンポなってしまった、と。

長年体が慣れてしまっている曲なので、ある部分にくると「ここは難しいところだから頑張って速く弾かないと」と体が勝手に反応してしまう。

でも、今の自分にとってはきっとそこまで難しいところではなくて、

むしろ表情をつけることを最優先したくなるパッセージかもしれない。

リヒテル録音に出会ってやはり感動したとしても、同じように弾きたいとは思わないかもしれない。

初めてこの曲に出会った視点でもう一度じっくり感じれば、今だからこそ分かる感動もたくさん感じられるかもしれないのです。

もちろん今まで積み重ねてきた時間の流れはそこに残したまま。

あぁ、年を重ねていくというのはこういうことなのかな。

経てきた時間の流れの重さを忘れるわけでもなく、

時間に流されて今を捨ててしまうことでもない。

そしてそれはきっと、「今」が充実していないと出来ないこと。

|

« 初心 | トップページ | ラフマニノフコレクション »

音楽」カテゴリの記事

コメント

なんだか、
自分でもずっと考えていたことが、
少し、
少しだけ
わかった気がします。
いつもありがとぅございます♪

投稿: ぷぅ | 2013年1月 4日 (金) 01時29分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/513406/56459727

この記事へのトラックバック一覧です: そしてその理由:

« 初心 | トップページ | ラフマニノフコレクション »