« 前橋汀子ヴァイオリンリサイタル in 海老名 | トップページ | 壮絶な人生 »

第2回ペダル講座 in カワイ表参道

カワイでの全5回ペダル講座シリーズの2回目をやってきました。

くどいようですが、10時半開演なので、まだ日も登らない7時半起き。

今日は頑張って9時半に会場に着けるように出たんですが、

そういう時にかぎって電車が遅れるpout

まあ人生そんなもんです。

今日はバロックと古典派のペダルの使い方を説明しました。

ピアニストとして講座を開く意義というのはやはり言ったことをその場で音に出来ることだと思うので、

たくさん演奏もしましたよhappy01

今日取り上げた曲は、

バッハ:平均律クラヴィーア曲集第1巻より
  第8番 変ホ短調、第9番ホ長調
モーツァルト:ピアノソナタK.310,K.330
ベートーヴェン:悲愴、テンペスト、ワルトシュタイン
です。

まず最初にモーツァルトのソナタK.330の1楽章を弾いて、

ベートーヴェンの説明から。

ちょうどベートーヴェンの時代に今のようなペダルがだんだん開発されていったので、その辺の楽器学的な話もまじえながら説明してると、あっという間に1時間!!!

前回は大幅に時間オーバーして2時間半もしゃべり続けていたので、

今日はサクッといこうと思っていたはずなんですが(笑)。

ちなみに、ベートーヴェンの前期の頃のペダルというのは膝にレバーがついてて、それで操作してたらしいんです。

もちろん今のようなきめ細かい踏み替えや調節なんて出来るはずもない。

そして音の太さや伸びも今のピアノとは格段に違います。

そんなことを考えながら、当時の響き、ベートーヴェンが意図していたことを想像しながら弾かなければならないので、

古典派以前のペダルはある意味ロマン派よりも難しいんです。

どんなふうにペダルを使うか、だけでなく、そこで踏むのがその時代の音楽として正しいのかどうか、というような解釈の話にもなってくるので。

まあでも最終的には、キレイに聞こえれば何でもありなんじゃないかな、と僕は思いますが。

そして、何でもありというのは逆にいうとどんな風にでも踏めるテクニックが必要なので、

そこでこの講座を役立ててもらえればいいわけですね。

正しいペダルの踏み方講座、ではないのです。

例えば、有名なワルトシュタインの3楽章のペダル踏みっぱなしの箇所、

これも本当にピアニストによっていろいろですが、

ようは説得力があれば何でもいい。

そこでペダルを踏まなかったら音楽が台無しになるような貧弱な音楽をベートーヴェンは書いてません。

ただ、何も考えずに無神経にペダルを踏みっぱなしにすると、当然のことながら音は濁って何を弾いているか分からなくなるので、

もしもこんなイメージの弾き方をしたいのであれば、こんなペダルの使い方をすればうまくそれが表せますよ、という話をするわけです。

引き出しはあればあるほどいい。

個人的には、僕はほぼずっとハーフペダルか3分の1ペダルにしておいて、

よく音を聞きながら、あまりにも濁るようなところだけほんの少し足を上げています。

それも、完全に響きを変えてしまわないくらいの、ピクッと脚が痙攣しただけ、というくらいの踏み替えです。

という作業をしているとけっきょくほぼ毎拍踏み替えてるわけですが、

それだけやって初めて、

響きがずーっと続いていて、しかもメロディもちゃんと聞き取れて、ビロードのような響きの幕の中から和音も見つけることができる、

そんな音に聞こえるいうになるのです。

意外と繊細な作業しています。

テンペスト1楽章の再現部のレチタティーヴォでこれまたペダルの踏みっぱなしの指示があるところは、

あたかもペダルをずっと踏んでいるかのように聞こえるように、少しずつ少しずつ響きを消していって、最後に「ソーファ」ってなるファのところで響きが完全に消えるようにします。

悲愴の最初のfpは、ガツンと強い和音を鳴らした後に左手を全部、もしくはピアノによってはメロディ以外の音を全部離してから、ペダルをハーフにすると、

響きがスッと収束してfpに聞こえるようになります。

モーツァルトのペダルは、非常にスッキリとシンプルに聞こえるように、

ほんの数mmだけ踏むようなペダルをたくさん使います。

別に使わなければそれでも大丈夫なくらいのペダルなんですが、

ほんの少し音に表情が加わります。

ただ、K.310のような短調の激しい曲の時は、

激しくて細い音を出すために、すばやく鋭く踏み込んですぐに力を抜くペダリングをします。

そしてバッハ。

バッハでペダルを使うべきかどうか、という議論はよくされますが、

僕は使って構わないんじゃないかな、と思っています。

ただ、「使うべき」とは思いません。

もしも使うかどうか迷っているのであれば、それは使わないほうがいいかと。

当時の楽器にペダルというものはないので、下手に使うと全く違う音楽になってしまいます。

バッハのペダリングは、指では届かないところをつなぐためだけに使うか、

もしくは教会で弾いているような響きをうまく作り出すために使うか、

この二つに絞られるんじゃないかな。

前者は簡単ですが、後者はともするとぐちゃぐちゃな響きになってしまうので、

よほど慎重に自分の響きを聞けて繊細なペダル使いが出来ないとオススメしません。

使うかどうか迷っているということは、その時点ではうまく使えてないということだと思うので、

それならまずは使わずに弾くようにしたほうがいいかな、と思うわけです。

それでも、ひとたびバッハの音楽にピタッとくるようなペダルが使えるようになったら、

これはもう本当に気持ちいい。

天国に行けるような音が出せるようになります。

そういう意味では、もしかしたら一番ペダルが難しい作曲家なのかもしれないですね。

さて、第2回の講座を終えて、

ここまではすでに自分の引き出しにあるものについて説明していたのでそこまで大変ではなかったのですが、

第3回からは新たなジャンルを開拓しないといけないので、たくさん勉強しないと。

その前に苦行のような(いや、楽しいですよ!)ヒロシマミュージックフェスティバルがあり、

初めてのコンチェルトのパガニーニ狂詩曲があり、

前橋さんとのコンサートもあり、

気を抜いていられないですね。

そうだ、尾道のしまなみ交流館で、ヒロシマミュージックフェスティバルの講師陣による演奏会が開かれるので、

皆さん来て下さいね。

18時から市民ギャラリーで、無料です。

ぼくと、生野正樹くん(Va.)、金子鈴太郎くん(Vc.)、下田望ちゃん(Pf.)の出演で、

まずは下田望ちゃんのソロでガーシュインのプレリュード、

そして生野くんとシューマンのおとぎの絵本

僕がソロでスクリャービンの黒ミサ

金子鈴太郎くんが無伴奏でバッハを弾いた後、一緒にポッパーのハンガリー狂詩曲

そして下田望ちゃんとピアノ連弾でガーシュインのラプソディ・イン・ブルーをやります。

きっと楽しいコンサートになると思いますよ~happy01

|

« 前橋汀子ヴァイオリンリサイタル in 海老名 | トップページ | 壮絶な人生 »

コンサート」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/513406/54564759

この記事へのトラックバック一覧です: 第2回ペダル講座 in カワイ表参道:

« 前橋汀子ヴァイオリンリサイタル in 海老名 | トップページ | 壮絶な人生 »