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開く

午前中レッスンしてから、死ぬ気でさらって、

いつもなら15分ちょっとかかる駅までの道を、

15分で駅まで行って切符も買って電車に乗るという離れ業をやってのけ、

倉敷に帰りそのまま12月にやるリサイタルの打ち合わせをしてきました。

他にもいくつかの打ち合わせが出来、有意義な時間になりました。

帰ってからはひたすら練習。

音を絞り出そうとしてもなかなか壁が取っ払えずに苦しんでいたのが、

幻想ポロネーズを弾くと心の奥のほうで涙が出かかりました。

やっぱりショパンは偉大だ。

でも、「よしよし、この調子だ」と欲を出した瞬間ショパンは遠ざかって行き、僕の心の扉もまたスーッと閉じていったんですがaries

この曲は、ショパンが命を削りながら書いた作品なんだから、

演奏するほうも相当の覚悟がないとその世界には容易に近づけないんですね。

最後に書いた大作。

ようやくその心の内を語ったモノローグ。

彼にとってやはり帰るべき場所はマズルカであり、

そしてポロネーズだったのでした。

ほとばしる激情もなく、胸をしめつける苦悩もなく、

エチュードの技術的困難もなく、

そこにふと立ち止まって彼という人間を見せてくれただけ。

そこに全てがあって、

それは全てを超越している。

ほとばしる激情も、胸をしめつける苦悩も、エチュードの技術的困難も、

すべてが全く自然にそこに存在している。

何も意図しているものではなく、

彼の人生がそこにあるだけなので、

この超難曲を何とか弾けるようになってやろう、

という野心あふれるチャレンジング精神で臨んだならば、

永遠にこの曲の世界にたどり着くことは出来ないでしょう。

道筋はすごく単純。

自分の心を本当の意味で全て開くこと。

そしてショパンを受け入れ、ショパンにも受け入れてもらうこと。

単純なことですが、これほど難しいことはないですよね。

人はその人生で本当に巡り会うべき相手と巡り会っているのだろうか、

その問いに答えるのと同じくらい難しい。

そして、それをするためには結局のところ、

完璧なテクニックとショパンの音楽性を表すことの出来るスキルが備わっていないといけない。

でないと、道の途中でつまずいてしまうから。

やっぱりショパンは偉大だ。

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