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雨の香り

ホテルを出たら、今日も雨。

真っ黒な空から嵐のように激しく降る雨は好きだけど、

しとしとと降り続く、何を考えてるのか分からない憂鬱な雨は嫌い。

どうせならいさぎよくスコールのように降ってくれればいいのに、と思う。

そんな煮え切らない雨の香りは、なぜかいつも子供時代へと僕をスリップさせる。

子供の頃もやっぱりそんな憂鬱な雨は嫌いだった。

なぜか思い出すのは、そんな憂鬱な雨の日の空。

そういえば、想い出の中に快晴の空ってあんまりないかもしれない。

晴れた日にあんまりいい想い出がないのか、自分の頭の中でいつの間にか書きかえられてるのか。

芸大に入って東京で一人暮らしを始めた頃のことを思い出させる香りというのもある。

新しい生活に胸を躍らせて、同時に不安も抱えて、

マンションからビルばかりの街に出たときに感じたあの香り。

ホームシックというようなものには全くならなかったけど、

時に突然、なんで自分は倉敷じゃなくてこんなところにいるんだろう、

と言いようのない違和感に襲われることがあったっけか。

どこにでも順応出来る自分は、しかし、本当はいつもルーツに帰りたくて仕方ないタチなんだと思う。

人間のルーツ、

それは生まれる前の世界。

この世界に産み落とされた瞬間に、人は何かを失いながら生きている。

今という時間を失いながら生きている。

失ったものが多ければ多いほど、そしてそれが輝けば輝くほど、

人として味が出てくる。

前だけを向いて歩くのは味気ない。

後ろを向いたまま、失ってきた輝ける想い出の数々を大切に思いながら歩いていくのが、

美しい人生のような気がする。

それがきっと全て音になって出てくる。

年を取った自分はどんな演奏をしてるんだろう。


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コメント

☆もしも人が、永遠という事を、限りない時間の持続という事ではなく、無時間性という事であると理解すれば、現在に生きる人は永遠に生きる
ウィトゲンシュタインさん

松本さん、こんにちは♪そう人生は絶え間ない喪失ではありますが、一方で失われない時間があると思います♪

例えば私がこの前聴いた松本さんのショパンの協奏曲だって時間が結晶化されていると思います♪

松本さん輝いていましたよ♪orchestraの方達も♪

これからも楽しみにしています♪

投稿: 手鞠猫 | 2010年4月21日 (水) 15時10分

そういえば。

その倉敷で、5日前にチケット買いました。
5月23日のシンフォニーホール。
楽しみにしています♪ 

投稿: あきこ | 2010年4月21日 (水) 14時28分

「失ってきた輝ける想い出の数々を大切に思 いながら歩いていくのが、

 美しい人生のような気がする。」・・・


の言葉・・・相田みつを風の字で書いて部屋に貼っておきたいです。(^^)

本当にそうですね。「前だけを見つめて進むのみ!」みたいな言葉もいいけれど大切に心にたくしこんでおきたい思い出もたくさんあるし、前だけを見るのも時にしんどいことがありますよね。

「大切に思いながら歩く」。
ここがいいですね!!大好きです。(あ、松本さんが、ではなくてこの言葉が)
(あ、いえ、松本さんも大好きです)
(あ、でも変な意味では・・)
(もう終わります)

投稿: あきこ | 2010年4月21日 (水) 14時26分

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